フィクションだったのかもしれない
どう説明しても信じてもらえないという経験、ないだろうか。
「子供のころ祖父母の家の裏で幽霊を見た」
だとか
「何回も死にかけたが毎度生還した」
とか
「昔はあの美人女優に似てた」
「今まで付き合った数は片手に収まらない」
みたいな話。
まあ、子供の時の話なら見間違えだろうと言われておしまいだろうし、美人女優に似てたのなら昔の写真見せろって話だ。
付き合った数が片手に収まらない?ああ、一つ低い次元の話ね。
少からずこういう経験はあるだろう。
たとえ本当であっても現実味がないならばフィクションにしか聞こえないのだ。
ここで問題になってくるのがなぜ現実味がないと感じてしまうかだ。
これは3パターンぐらい考えられる。
パターン1 どう考えても嘘である/あり得ない
幽霊とか、昔はあの美人女優に似てたとか、今までに何度も付き合ったことがあるとかはここに入る。
僕らは科学的に幽霊が存在しないのを知ってる。
たしかに、似てもにつかない女優の名前を上げられたら誰だって「んなわけあるか」と思うだろう。
THE非モテな風貌の人がモテまくりの世界なんてどこにあるんだって話だ、あるのなら教えて欲しいもんだ。
こんな風に空想のおはなしに聞こえるものは信じてもらえない。実際この手の話の9割は嘘だろうし、もし本当だったとしてもたぶん口元がちょっと似てるだけだろうし、付き合った人数は半分ぐらいだろう。
パターン2 話のレベルがすごすぎて聞き手がついてこれない
僕の高校の生物の先生は実験中の操作ミスやら毒蛇にかまれたやらガンになったやらバイクで事故したやらと幾度となく死にかけたらしい。
こんな不幸体質の人なかなか出会わないだろう。まちがいなく今まで出会ってきた中で最高クラスである。
はっきり言って最初の方は皆、絶対に盛っていると思っていた。
だが、どれもやたらと状況が具体的なのだ。信じるしかないレベルで。
ハンマー投げの室伏広治選手の伝説なんてまさにそうだ。
室伏広治とは (ムロフシコウジとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ね、信じられないでしょ。
パターン3 話し手と聞き手の常識が大幅にずれている
パターン2と似ているようにも思えるが、大きく異なるのは話している側からしたら十分に当たり前のことでもこのパターンだと嘘だと思われてしまう点だ。
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僕の通っていた中学は近辺でも有名な底辺中学だった。
授業中でも平気で教室を出ていくヤンキーたち、それを追いかけて先生は授業を止める。
まともに授業が成り立つのはそいつらが休みの時だけだ。
もちろん奴らは酒タバコは当たり前、夜な夜な公園に原付で集結したりもしたらしい。
極めつけは盗んだバイクで走り出して鑑別所行き。しかも3年間で3回ぐらい。
一部のヤンキーだけならまだしも、中学デビューのイキッた半熟卵みたいなのは真面目はダサいという風潮を作り、授業中はパズドラに興じるのだ。
真面目な奴らは陰キャだなんだ言われさげすまれる。真面目かつ文化部なんてはっきり言ってずいぶん制限された人権しか与えられない。
ものが盗まれるのは日常茶飯事、財布からお金だけきれいに消えるのもしばしば、グループ分けでは陽キャの皆さんのご意向に従うのみ。
典型的なTHEアホ校、マンガレベルのクソ校。
そんな頭ゆるゆる中学だから、たくさん伝説がある。
例えば、ヤンキーの誰かの誕生日にはなにかしらハプニングが起きる。
あるときは中国の春節祝いのごとく爆竹を鳴らし仲間の誕生日を盛り上げ、またあるときには教室を突然デコレーションしだしてパーティー会場にする。
これだけでも信じられない人もいるのかも知れないが、まだまだ飛び抜けたやつが2つある。
ある日、学校の廊下が突然真っ白になったのだ。
建物内の廊下だ。雪なんかじゃない。
小麦粉だ
誕生祝いに小麦粉を撒く。仲間にかける。ある種の現代アートだ。もはやその発想力には脱帽だ。
このあと警察が来たりしていたが、学校中の先生が必死に掃除をしていた風景を見て、中学校の先生にだけはならないでおこうと心に誓った。
もう一つは豆腐だ。
豆腐を投げ合い、そしてプールにダイブだ。
もう病気だ。病気。隔離病棟にでも行けよ。
ちなみにこのあと首謀者(の親)がプールの水代何十万円かを弁償させられたらしい。
無論3年生ともなれば受験を意識する人も増えるのでましにはなってくるのだが、一定数は最後まで脳ミソだだ漏れの方々がいて、幸せそうにしていた。
卒業式にも、特効服とか刺繍ランを着て校門前でウンコ座りをして写真を撮るという素晴らしくクソみたいな伝統があった。ウンコ座りだけに。
中学卒業してもう3年ほど経つのだが、この脳ミソ漏れてる人たちの大半は高校中退らしいし、少年院にいたもの、「#クソ客のいる生活」を使いこなすガールズバー店員、〇〇組の駒使い、キャバ嬢と同棲しているホスト、詐偽の受け子、DV夫、スロプーなどなど社会の底辺がたくさんいる。
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とまあ、こんな話を高校の同期にしたんですよ。
するとどうでしょう、「盛りすぎわろた」「嘘松乙」「いつの時代やねん」「治安悪すぎで草」といったなかなかな反応をいただきまして。
僕が通っていたのは一体何だったのでしょうか?
間違って幼稚園に通ってたのかな?
どうやら大阪市内出身だったりもっと北の方出身の方々にはマンガの世界にしか聞こえなかったようだ。
僕は事実を淡々と話しただけなのに。
むしろ中学ってのはどこもこんな風に治安の悪いものだと思っていました。僕の常識の中学は彼らにはフィクションにしか聞こえない。
彼らの中では授業は基本的に全員座って聞くものらしいし、真面目な奴は皆から頼られ素晴らしいこととして扱われていたようだ。
同じ大阪でこんなに格差があって良いのだろうか?ちなみに同じ地域出身の同期とはあるある話としてこのはなしが通じた。
嘘じゃないのにまるで異国の知らない世界の話のように聞く同期に
「はたして、僕はとんだ作り話を語っているのでは?」と思った。
そして、つい先日の話である。予備校の数学の講師に
「まともに中学で授業受けてたであろう君らが教わってない訳ないよね~」
みたいに言われた。
まともに受けれる授業がなかったのにそんなこと言われても困る。
やっぱり僕の3年間通っていたところは中学校の形をしたなにか別のものだったのかも知れない。
このことはフィクションであって欲しい。