サンタは走らない

今日はクリスマスイブだ。

クリスマスイブってのは奇妙なもので、ある時まではサンタが枕元にプレゼントをおいていってくれる日なんだけど、どこかの時点から恋人と過ごす日になるんです。
もう少し年を重ねるともう「クリスマス=ヤリマクリスマス」ですわ、性の6時間なんて言われるぐらいですからね、人の誕生日にヤリまくる、一体どういう神経してんだよ。

誰しもクリスマスが楽しみで仕方なかった頃があったはずなんだ、なのになのにどうして、いつからこんな敗北感を味わう行事になっちまったんだっ·····

クリスマスが恋人のための日という扱いなのは日本ぐらいらしい。こればかりは日本に生まれたことを恨むしかない。商業主義万歳。 


さてさて、そんなクリスマスですが我々日本人としては正月が近いことも忘れてはならないのです。
正月を迎えるというのは忙しいものです。余りの忙しさに師走なんて名前をつけてしまうぐらいですから。
書いて字のごとく「師が走る」この師
というのはお坊さんのことですね。

ところで、サンタクロースは24時間以内に世界中の子供たちにプレゼントを配って回ることになっているみたいですが、さすがに一人ってことはないでしょうから、日本担当みたいなのが一人いるとしましょう。
とりあえずプレゼントをもらえる年齢を3~12歳と仮定しますと1000万人弱日本にいまして、人口密度で言うとだいたい200m四方に一人らしいです。
24日20:00~翌25日8:00の12時間でこの四方全てを最低一回は通過するとしたら、仮にまっすぐ並んでいたとしても総距離200万km、おおよそ地球50周分、時速にして17万km/hで配る必要があります。実際には重なった部分があったりしてもう少し遅くても配ることはできるのでしょうが、途方もない速度で配る必要があるわけです。

まさかこのスピードを出すのにトナカイって訳もなければ木製のそりってはずもないでしょう。衝撃波にたえうる耐圧カプセルに量子エンジン式メカトナカイハイパードライブ標準装備。もうこれしかない。ついでに積載部は四次元トランクで決まりだ。なんなら最新モデルだと自動運転標準装備だったりするんでしょうか。

とまあ、こんな具合に12/24世界で最も忙しいサンタクロースでさえ最新の兵器を使って自分が走り回るなんてことないんですな。

なのに、ここにいるんですよ、やむを得ずクリスマスイブに走ることになった奴が。
まあね、一昨年のことなんですが、演奏会からの帰り道だったかで人身事故が起きまして、電車が止まってしまったんです、ちょうどその時一緒にいたのが部活同じ男子と女子で、この二人がなかなかにいい感じになってたんですよね、で男子の方は迂回すれば帰れて、女子と私は少し離れた駅までしか帰れないといったところでした。とりあえず男子は迂回、女子は少し離れた駅までと選択、さてここで僕はどうするか迷った。待つのを選べば30分ぐらいだろうか、迂回を選べば女子と二人きりになるタイミングがある上に男子が彼女と二人きりになれるチャンスを妨害することになる、今日はクリスマスイブだ、これぐらい粋なことしてやろうよ。こんな考えが頭をよぎった結果待つことにしました。二人の背中を見届け、はよくっつけなんて思う余裕をかました数分後、後1時間以上は動かないと駅員から告げられるのです。1時間ちょっとあったら走れば家に帰れるじゃないか、あまりよく考えもせず気がついたら走りだしていた。男子にLINEで走ると送ると「わろた」とだけ帰ってきた。これじゃ僕がピエロじゃないか、ひでぇ。
クリスマスに染まる町並みを無表情で駆け抜ける。いつもは地下で通りすぎる街がこんなに華やかだったとは。なのに華やかさのかけらもない僕はクリスマスイブにぼっちで望まないランニング。どうやら僕は12月ではなく師走を過ごすことになっていたみたいだ。結局1時間ぐらい走らされた。


結果として誰かのために走ることとなった僕、まちがいなく良い子だったはずだ、なのにプレゼントはなかった。ちなみにその二人は少し後でめでたく結ばれた。「わろた」じゃなくてもう少し感謝してもらいたいところだ。プレゼントぐらいもってこいや。
もはや恋人である必要すらない。全然知らない人とかでもいいからプレゼント送りつけて欲しい。amazonがサンタクロースでもいいから。

さて、こんなことを書いているととっくに0時を過ぎ性の6時間も佳境といった時間になってしまった。

クリスマス当日だ。朝起きてもプレゼントは届いていないだろう。

でももし、ここから一年「良い子」だったらサンタクロースが来るとしたら?

さあ、来年の自分のためにがんばろうではないか、同士よ。

メリークリスマス!!