非リアの3時間戦争

カップルってのは時として周囲の理解を超えた生態を見せてくる。

別に嫉妬とかじゃなくて、純粋に観察してきて感じたことだ。ストーカーみたいでキモい?非モテは黙れ?は?

それこそつい最近まで「精神的向上心がないやつは馬鹿だ」みたいに言ってた堅物系男子が公衆の面前で彼女の頭ポンポンしだしたり、あるいは大人しい女子が友達を交えてカラオケ行ってるのにテーブルの下で彼氏と足絡めてイチャイチャしてたり。


こんなのもいた。文化祭の打ち上げでの話。準備の過程でいい感じになった二人の背中を押すコーナーを突然始めるカップル×3組。くそう!俺が必死になって働いてる裏でイチャイチャしやがって、あんなに働いたのに俺にはなんも無しかよふざけんなよちくしょう

たぶんこういう人達の一部が将来的に独身に優しくない世界をつくってくんですよ、やたらと結婚いいよとか薦めててくるんですよ。優しくない世界だこと。


なんか書いてて悲しくなってくる内容なのだが、実際問題これらは自分に関係のない世界で起こってる、すなわち自らにとって価値中立的なんですよ。

だから観察対象になるわけですし、こんな行動を目の当たりにして僕が発狂することもないのです。


「自分に関係のない世界で起こる限り」

この大前提は守られるべきだ。カップルは二人の世界で好きにしてくれればいいし、僕は一人でいればいい。お互いに干渉することがなければ不幸を生み出すこともない。これは国際法に書かれていてもいいはずだ。


だが、この前提が破られた時そこは戦場と化す。


予備校の8階に自習室兼休憩スペースみたいな場所がありまして、ボッチかつ既に出来上がってる輪の中に割って入るのが非常に苦手な僕は、事前に席をとってそこで自習するという手法をよく使うんです。

事件当日の日曜日も同じように朝から席を確保しそこで自習してました。
それなりに広い場所ですので、人がまばらな時間帯なら隣近所もおらず、広々と机を使えるのです。こんな中で人の間となりに座ろうなんて人、普通いないでしょう。

まだ昼には少し早い時間帯、まばらだった人も少しずつ増えてくるとそれなりには密度が上がるのですが、それでも間となりに座る必要はない。

ちょうどこの時間帯に斜め前に女子が一人来たんです。まあ、斜め前なら常識の範囲内、そこそこ人もいるから仕方ない部分だし、なんならその女子が結構かわいいのもあって、なんら問題はなかったのです。

しかしらコピーするものがあったりして席を離れて帰ってきてみるとどうでしょう。その女子の前、それすなわち私の間となりに男子がいるじゃありませんか。しかも茶髪で安っぽいネックレス着けた典型的パリピ陽キャが。

なんで間となりなのかな。しかもこんな絶対に相容れないようなタイプの人間が。僕荷物しっかりおいてるでしょ。見えないのかな。

まあ、所詮座る位置の問題ですよ気にすることないと切り替えて行くのですが、どうにも圧を感じる。要するに僕が邪魔なんでしょうね。


しかし、こうも仕掛けられて僕が移動するのは癪に触るのでじっと耐えます。

とは言え僕は寛容なので、数学教えあったりしてるのが仲睦まじいなぁなどと考えてる余裕がまだありました。この時は。

どかせたいカップルと耐える僕。戦況は硬直していました。

この硬直を打ち破るのはまさかの展開だったのです。


昼どきに込み合うのは仕方ないのですが、普通は昼を過ぎれば人は減っていくんです。もちろんこの日も減っていたはずなんです。


もう片方のとなりにもなぜかカップルが座ってるんですね。前世に何かしたんですかね?

もう人もまばらなんですよ。なのになぜか両隣カップル。初めに来たカップルなんていつの間にやら横並びに座っていちゃついとりますからね。

いくら寛容でもこれはおかしいと思うでしょ。

そもそもカップルって等間隔に座るものではなかったのでしょうか?鴨川ルールはここでは適応されないのか? 

というかやっぱり僕見えてます?

やはりカップルってのは理解を超えてくるみたいだ。



僕の影が薄すぎるのか何なのかは知りませんが意図せずしてカップルに挟みこまれてしまった僕。それでも淡々と勉強するのですが、どうにも会話が耳に入ってくる。

他愛もない話で盛り上がって幸せそうなのはいいのですが、突然「教室で、前の席のやつがずっと貧乏ゆすりしててウザイ、死ね」みたいなこと言い出したりするんでなかなかに体に悪い。

僕はよくペン回しをしているのですがこの時はばかりはすぐにやめましたよ。


新たに現れた方はなんか突然誕生日プレゼントだか何だか知りませんがライブのチケットプレゼントしてて一緒に行こうとか言ってますし。知らねぇよ。


第一予備校に来てそんなイチャイチャされても困るんですよ、はっきり言って目のやり場にも困りますし。勉強しろ勉強。そうだよ、予備校ってのはもっと修行の場っぽくないと。


僕のこの状況は十分に修行の場だ。カルマがたまりまくってる。



イチャイチャと突然の盛り上がり、好きと死ねが飛び交う戦場、時々なぜか踊り出す。
そんな中で追加1時間半、ついに始めに来た方のカップルが帰って行ったことでこの戦争は終結しました。


長い戦いだった。途中何度も移動しようと思った。でも耐えきった。リア充に勝ったんだ。注:勝ってません

謎の達成感を味わいながら独り帰る道は虚無だった。俺はなにしたんだろうか。気にせずに移動しろよ。でもまあ、またカップルの不可解な行動を見れたと思えば悪くない。


ただ、相手方から僕のことが見えていたのかどうかについては


カップルの生態:非リアは見えないらしい。


とでも付け加えておこうか。


うん、つらい。